今回は、長野市のライブハウス:NAGANO CLUB JUNK BOXとthe Venueの代表の陣谷 良将さんにコロナ禍におけるライブハウスの状況や今後の展望をzoomを使ったwebインタビューでお聞きしました。(インタビュアー:イベントナガノ 芝)

芝:陣谷さん、よろしくおねがいします。まずはNAGANO CLUB JUNK BOXについて教えてください。
陣谷さん(以下、敬称略):今年で21年目を迎える長野市のライブハウスです。
コロナの影響で、2月中旬頃から公演をどうするかという話が徐々に出てきました。
3月は延期になったり強行したりという状況が続いて、公演ができたのは3月中旬までかな。
芝:ではそれ以降は稼働できていないのですね?
陣谷:3月中旬頃まではお客さんにお名前と連絡先を書いていただくなど気をつけて公演を行ってきましたが、大阪のライブハウスでクラスターが発生したことをきっかけに、3月後半からぱったりとですね。
芝:陣谷さん以外のスタッフさんはどうされていますか?
陣谷:現場スタッフはずっと休み。休業補償で。雇用調整助成金を使って。

芝:今もほとんど公演ができていない状況が続いているのでしょうか?
陣谷:the Venueという小さい方のライブハウスにはようやく6/13(土)にお客さんを入れることができました。しかし、ジャンクボックスではまだできていない状況です。
芝:ジャンクボックスではいつ頃から公演予定が入っていますか?
陣谷:ジャンクボックスはメジャーなツアーバンドさんの公演が主なので、軒並み8月末まで予定はありません。9月以降どうするかですが…。
ただ現段階で何人まで収容して構わないのか分からなくて。お客さん同士どの程度の距離を取ればいいのかがね…。それによってキャパシティの数字がはっきり出せないためチケットを販売できず、延期になってしまうものが多いですね。10月、11月の公演ができればいいかなと。
なので地元バンドをブッキングしようかなと今動いています。今月1本できたらなと。
7月にはライブ配信が1本入っているのみで、ジャンクボックスに関しては元に戻るのはまだまだ先かな。
芝:ライブ配信でも難しいところもありますよね。
陣谷:でもライブ配信をできる環境にはしようと思っていて。
7月5日(日)に長野の我々CLUB JUNK BOXとLIVEHOUSE J、上田のLive&Bar Radius、伊那のgram house、諏訪のCLUB ROCK HEARTS、松本のLIVEHOUSE ALECXと合同でライブ配信を行うことは決まっています。
芝:それは各会場を順繰りに?
陣谷:そうです。配信のサーキットイベントのような感じでやってみようと。

芝:応援プロジェクトをHPで拝見しました。
陣谷:コロナの影響を受けて、ありがたいことに全国でライブハウスを救おうという動きが出てきていて、たとえばTシャツを作ってその収益をライブハウスに入れてくださるとか。
メジャーどころも動いてくださっていて、東北ライブハウス大作戦が「~SAVE THE LIVEHOUSE作戦~」を始めるなど、いろんなところで支援を行っていただいています。
長野市でいうと、長野ライブハウス支援プロジェクトというハードコア系バンドが立ち上げたプロジェクトがあり、Tシャツやグッズを作ってライブハウスに支援金をくださるという動きがあります。
ジャンクボックスとしては、特にクラウドファンディングは行っていないが、在庫で残っているTシャツがあったので、それを販売することでご支援いただいています。
芝:まだ長期的な支援が必要ですよね。
陣谷:そうですね、支援していただけるのであればありがたいのですが。
なんとか自力で早く公演をできるようになればいいのですが、なかなかいいアイデアが思い浮かばず。人を集めてなんぼの仕事なので、根本的なところで人を集めるなと言われてしまうとね…。

芝:スタンディングで間隔取ってと言われると難しいですよね。
陣谷:世間一般からすると、どうしても東京のイメージが強いので、先日ようやく自粛解除されたばかりというイメージが広がってしまっていて。
長野では5月中旬に自粛解除となったため、長野市内のライブハウスの各責任者が集まって長野県北信地区主要ライブハウス・クラブ施設 新型コロナウィルス感染拡大予防ガイドラインを作りました。
1mを取れる範囲でしかお客さんは入れない、県外のお客さんは入れない、お名前と連絡先を記入してもらう、消毒とマスクをしてもらうと決めたんですが、フェイスシールドも着用するなど東京に合わせないといけないのかなと。

芝:まだまだお客さんを多く入れるのは難しいですね。
まだプロモーターさんには話聞けていないですが、ブッキングもできないですよね。東京ではチケット代を倍にする主催者さんもいるようですが。
陣谷:そうですね、チケット代を倍にするとか2回回しにするとか。そういった案は出ていますが、実際それで動こうというふうにはなっていないですね。
まだまだ長いですわ。
芝:お客様を入れられないという状況だと、今後の展開も厳しいでしょうか。
陣谷:メジャーアーティストのライブに関しては先方が決めることですし、キャパ制限というところで採算がとれるのかという問題もあるので、こちらが実施してくださいと言ってもできるような環境ではなくて。
一方、地元のライブに関しては気をつけながら開催していこうかなと。世間一般の皆さんが思っているほどお客さんが満員というイベントは正直少なく、お客さんが10人や20人というライブもあるので、そういう小規模なものを精査して、これならソーシャルディスタンスを取れるだろうというイベントを徐々にしていきたいなと。
あとは世間の動きを見て。第2波が来るかもしれないし。
芝:夏は大丈夫とも言えないですしね。
陣谷:夏祭りやフェスが中止になっているので、まだどこかでお客さんもなかなか表立って遊びに行くという状況ではないのかなと。
芝:それでも逆に言うと、一般のバンドがジャンクボックスで土日にライブを行うことは今まではできなかったと思いますが、今はできるので地元のバンドにはチャンスかもしれないですね。
陣谷:そうですね。ずっとスケジュールは空いているので。バンドのメンバーが所属会社や学校側から出演を控えるよう言われていないバンドであればぜひ!
芝:一般の方に知ってもらいたいことは?
陣谷:ライブハウスもクラブも、いわゆる3密の場だというのが世間の認識であると思うのですが、密集しないイベントも多く、どのイベントも満員でぎゅうぎゅう詰めというわけではないので、ライブハウス=常に密集している空間というわけではないということは知っていただきたいです。
あと、換気や消毒を気をつけています。リスクがゼロではありませんが、普通のバーや居酒屋のように思っていただいて、ライブハウス=危険と思わないでほしいです。
確かにイベントによっては密になりますが、そのような密になるイベントは当面開催しません。十分気をつけてイベントを開催するので楽しんでもらいたいです。
ただその分、入場時にお客さんの確認はしているので、記名をしていただいたり、そのような点でご不便をおかけしますが、ご理解いただきたいです。
芝:手間はかかりますが、飲食店などでは記名しないと思いますので、むしろ安全というか気をつけて運営しているという印象を受けます。
安全面に関しては他の業種よりも気を使っているってことをもっとアピールしていきたいですね。
陣谷さん、今回はライブハウスの現状や展開について色々お話しいただきありがとうございました。
イベントナガノでは今後も様々なイベント業界の方々にお話を伺い、現状や問題点の共有・ご理解をいただき、イベントが再開されるまで、されてからのバックアップを進めて行きたいと考えております。
また、今回インタビューさせていただいた陣谷さんを含めイベント関係者に別途質問させていただき、回答をイベントナガノ・レポートにて公開いたします。また、こういう業種の方の状況を知りたい・聞きたいというリクエストも受付しています。ご質問・リクエストはイベントナガノのお問い合わせフォームからお願いいたします