2018年秋からスタートし、春と秋の1年に2回開催してきてコロナ禍の中4回目の開催が実現したアートヒルズ安曇野マーケット。4回目を迎えた今回、6/6(土)・7(日)の2日にわたり開催されました。
通常はクラフト部門で10~15ブース・飲食部門で約15ブースの出店のところ、今回は新型コロナウィルス感染拡大防止のため、クラフト部門で6ブース・飲食部門で13ブースと出店数を少なくしての開催となりました。
回数を重ねるごとにリピーターが増えるイベントを今回中止とせず開催に踏み切った経緯、そして実際の当日の状況や反応などについて、現場リーダーの佐藤さん、サブリーダーの小川さん、本堂さん(以下、敬称略)の3名にお話をお聞きしました。(インタビュアー:イベントナガノ 芝)

開催された経緯
場内の風景。お客様は等間隔のバミリ(目印)に従って並んでいます

:本日はよろしくお願いいたします。
さっそくですが、今回の安曇野アートヒルズミュージアムの屋外スペースで開催されたアートヒルズ安曇野マーケットの開催にあたって難しい判断を迫られたと思いますが、いつ決断したか教えてください。

佐藤:5月12日に開催可否の最終判断することを、臨時休館に入る前の4月半ばに決めていました。連休が空けて、緊急事態宣言が解除されたこともあり、開催するか中止するかを数日かけて話し合って判断しました。どちらかというと、開催するために何をすればいいのかを重点的に話し合いました。前例がなく、緊急事態宣言が解除されたばかりだったこともあり、1ヵ月後に楽しい雰囲気で来てくれるかという不安を持ちつつも、まずはやろうと決めました。

:勇気のいる決断だったと思いますが。

佐藤:結果的に良かったものの、結果的に悪かった可能性もあった中、それも覚悟のうちで最高責任者の堀口が開催を決断しました。リスク含め、開催しない選択肢の方が楽だったと思いますが、思い切った勇気ある決断ができた、英断だったと思います。

キッチンカーの様子。ブースのカウンターにはビニールシートが貼られていています。

:ホームページには、会期中であっても会場内で3密が見られたら即中止する場合もある、出店者様や来場者様は、長野県に在住していることを条件に加えると書かれていましたね。むしろそれが安心材料になったように思います。

佐藤:開催する以上はお客様に来てほしい、でも来ていただく以上は安全安心を最優先しなければなりませんので。こういう条件で開催しますと明記しました。
我々スタッフは、マスク着用・こまめな消毒と手洗い・毎日の検温と体調の報告・共有部分の定期的なアルコール消毒・順番待ちに対する社会的距離の確保誘導をすると公言しました。
ご来場のお客様には、マスク着用・こまめな消毒と手洗い・順番待ちの距離の確保・3密の回避・ゴミの持ち帰り・入場時の検温をお願いしました。

また、出店者の皆さまには、マスク着用・こまめな消毒と手洗い・健康調査書の協力(イベント開催1週間前から)・お客様との適度な距離の確保・商品お渡しの際の接触を最低限にとどめる工夫や飛沫感染予防をお願いするなど、かなりの手間をお願いすることになり、それでも変わらず出店していただけるかどうか意思を再確認しました。
すると、全出店者様からこのような条件が多い中でも「出店します」とのご回答で、「よく決心してくれました」「このような状況でありがたい」「条件が付くだけで出店できるならいくらでも協力します」とむしろ前向きで嬉しい言葉をかけてくださいました。

当日のオペレーション・入場をスムーズにする工夫
受付の様子の一部(消毒~検温まで)

:私はイベント2日目に伺いましたが、スムーズに入れた印象でした。入場口では、入場待機 ⇒ 手指の消毒 ⇒ 記名 ⇒ 検温 ⇒ リストバンド装着 ⇒ パンフレット配布・説明という流れでしたね。

本堂:実は1日目は、お客様がどれほど来てくださるか分からない中、想定していた以上にお客様が多くいらしたため、スロープ下まで並んでしまったんです。それを受けて、2日目には記名所を2カ所にすることで流れがスムーズになりました。

佐藤:天気が良かったため、熱中症にならないようにする必要もありまして。2日目は、記名テーブルを増やし、スタッフも増員して対応しました。初日からスタッフを普段より多めにしていましたが、さらに増員しました。
ストレスなくスムーズに入場していただいて、いかにイベント滞在時間を長くして楽しんでもらうかが大事なので。

:列に並ぶとマスクしなければならない、でも暑いという、マスク着用と熱中症リスクのバランスも難しかったと思います。

佐藤:2日目には初日の反省点を活かし、改善したことで洗練された入場の流れができたように感じます。
おかげさまで体調が悪くなった方・熱中症で倒れた方もなく。保冷剤や救急箱も用意していましたが、出番なく済みました。

会場内至る所に看板が設置されていました

:動線(駐車場から入場への流れ)でも苦労されたのでは?

佐藤:駐車場が多いため集約して流れを作るように努めました。臨時駐車場もほとんどいっぱいになって、臨時駐車場からの動線もできて1日目は動線が2本になってしまったため、2日目は強化しました。

:並ぶ列のバミリ(並ぶ位置のガムテープ印)コメントが書かれていて、すごく工夫されていました。

佐藤:いろんなスタッフがいてそれぞれ得意分野があるので、バミリにコメントを入れ、お客様になごむもの、笑えるものをと思いまして。次のバミリにはなんて書いてあるんだろうと楽しめますよね。
待つことに慣れている、待つことに覚悟をしてくださっている協力的なお客様が多いとは思いつつも、ちょっとでも待ち時間を埋められるように少しでも面白い要素を加えることで、いよいよイベントへ行くという楽しい雰囲気を演出できたなら嬉しいです。

:至る所に置かれていた立て看板の「検温しましたポーズ!」も目を引きました。

佐藤:コロナ対策に関しては小川が担当しました。看板でもチラシでも文字で訴えるのではなく、イラストで分かりやすくお伝えできるように工夫してくれました。

今回コロナ対策で苦労したこと
当日お客様に配布したチラシ

:今回の開催にあたってどのような点で苦労されましたか?

小川:前例がない分、何が正解か分からず、どこまで気をつければよいのか分からなかった点が一番苦労しました。こちらからのお願い事項を作ったとしても、来てくださるお客様全員が目にして気をつけていただかなければならないため、情報を全員に伝えるのが大変でした。

:お客様からクレームが入ったりトラブルが起きたことは?

佐藤:クレームはありませんでした。ただ、トラブルと言いますか、こちらの落ち度なのですが、声をかけるタイミングがずれてしまってお叱りを受けてしまいました。マスク着用が世間で一般化しているということもあり、その風潮に少し甘えてしまったのかもしれません。

お客様・出店者様の反応
ブースごとにガムテープでバミリ(待機位置)が記されてました

:おおむね問題なく、お客様の理解もあったように感じました。

佐藤:お客様自身も密にならないように心がけてくださっていました。またゴミの持ち帰りについても表面的でなく、ちゃんと行動に移してくださり、置いておかれている様子もほとんどありませんでした。
どこまでお願い事項に理解していただけるか分かりませんでしたが、皆様とても協力的で、むしろ私たちを労ってくださる方や、「楽しんだよ」「元気もらえたよ」と嬉しい声をかけてくださった方が多くて、心配以上にありがたいお声を多くいただけました。

小川:入場するまでが大変だったけど、結果的にお子さんが多かったので、その分、中では安全に安心して楽しめたという声もありました。

:たしかに、リストバンドをしているということは、ちゃんと入口で手順を踏んで通過してきた証ですからね。リストバンドが安心できるポイントだったように思います。
それに、出店者様も衛生面でかなり気をつけていた印象でした。それは自分たちのためというだけでなく、イベント全体を考えていらして、一体感が感じられました。
お客様も、ずっとイベントへ出る機会もなく、イベントに来たいという方多かったと思います。会場内で笑顔でない人を探す方が大変というほど楽しい雰囲気でした。

他のイベント主催者様へのアドバイス・次回からのイベント開催に活かしたいこと
アートヒルズ安曇野マーケットロゴ

:イベント実施を悩んでいる他の主催者様へのアドバイスなどはありますか?

佐藤国・県からの要請が週単位で変わる中、それにどこまで寄せていくか、そのすべき部分とイベントの楽しさを損なわないバランスが難しいですが、大事だと思います。

小川:今回、開催にあたって、検温や記名は国・県からの要請の中にはなかったんです。

佐藤:検温や記名は実施しない方が楽なので省こうという意見もあがりましたが、それでも未だ油断できない状況でし、念のためを考えて要請以上のことを実施しました。
お客様・出店者様・スタッフを守ることを優先しました。
あとは、まずはやってみて、分かって見えてきたことを改善していくことが大事だと思います。

:冒頭でもおっしゃっていましたが、開催しない選択肢は楽だけど、開催するにはどうすればいいか、開催に向けて前向きに考えていらしゃるのが印象的でした。

佐藤:イベント開催にあたって、何をしなければならないという明確なことがイベント開催のガイドラインに書かれていないので、どう解釈するか難しいところではあります。
次回のアートヒルズ安曇野マーケットは11月に予定していますが、今とは状況も要請も変わっているはずなので、その時にどうなっていても対応できるよう前向きに対応していきたいです。
お客様も出店者様も主催者も、お互いがストレスにならないようにすることが大事ですよね。

佐藤:今回はコロナ対策が最優先になってしまったためあまりアピールできませんでしたが、イベントを長く継続していくために今回から「プラスeco」を取り入れました。次回から一歩ずつ環境保存への取り組みを進めていきたいです。

:最後にこれからアートヒルズで行われるイベントや、アートヒルズミュージアムからのお知らせ、周辺での楽しいイベントなどありましたらお願いします。

佐藤:今週末(6/13.14)にはガッツリ行こうぜ!まるごと安曇野BBQというイベントを本館2階のレストラン・クインディチで開催します。WEBERの大型グリル2台で安曇野の美味しいものをジュージュー焼いてお待ちしています。お天気が良ければガーデンにもお席を用意しますので、ジューシーなお肉やハンバーガーを大きな口で頬張りたい方はクインディチのBBQへぜひお越しください!

夏こそガラスの輝く季節です。ご家族でも、カップルでも、お友達でも、お楽しみに頂けますので是非お越しください!

アートヒルズの佐藤さん、小川さん、本堂さん、今回はイベント後のお疲れな所にインタビューを受けていただきありがとうございました。
前述しておりますが、イベントに参加させていただいた際に、お客さんだけでなく、スタッフの皆さんや出店者の皆さんからも楽しそうな雰囲気が溢れ出る素敵なイベントでした。そのイベントを開催するにあたっての並々ならぬ苦労がインタビューから伝わってきましたが、それがあっての安心できるイベントだった事がよくわかりました。
当面はイベントを開催するには手間も労力もかかりますが、今後イベント開催を検討される方は是非参考にしていただければ幸いです。

イベントナガノでは今後も様々なイベント業界の方々にお話を伺い、現状や問題点の共有・ご理解をいただき、イベントが再開されるまで、されてからのバックアップを進めて行きたいと考えております。
また、今回のアートヒルズの皆さんを含めイベント関係者に別途質問させていただき、回答をイベントナガノ・レポートにて公開いたします。また、こういう業種の方の状況を知りたい・聞きたいというリクエストも受付しています。ご質問・リクエストはイベントナガノのお問い合わせフォームからお願いいたします